水面の蝶(7)

 毎日毎日たくさんの拍手、誠にありがとうございます。(〃▽〃)

 再読してくださってる方が何人かいらして、とっても嬉しいです。
 わたしも皆さんの勤勉さを見習わないと……うん、あのね、
 実は半年くらい前、小説の編集をされてる方に教えていただいたんですけど、それに因りますと、わたしの書き方、色々間違ってて。 いえ、日本語として成り立ってないとか書いてるものが人間として間違ってるとか(ええええーんっ!)、それは別にして、この場合は技術的なことで。

(いただいたメールのコピーです)

●「 」、( )、『 』の文頭一文字下げは必要ありません。

●・・・・・・(ナカグロ)ではなく、……(三点リーダー偶数組み合わせ)を使用してください。また、あまりたくさん使うのもいただけません。

●「――」が長すぎます。2ワード分か4ワード分程度に。

●!、?、などの後ろは1マスあけてください。


 教えてもらった後に書いたものは直したんですけど、過去記事も直そうと思って、膨大な量に挫けました。(^^;
 でも、何の責任もない方が再読してくれてるのに、当のわたしが間違いをそのままにしておくってのもちょっとアレなんで、やっぱり直そうと思います。
 暇を見て少しずつ、1年で終わるかなあ?



 お話の方は、
 拍手でもメールでも、青木さんにΨが向けられてるんですけど。(笑)
 青雪さんの復縁が気になる今の状況で、青木さんの気持ちがちょっとでも薪さん以外の人に向く話はKYでしたね、てか、
 わたしもツライ~、青木さんは薪さん以外どうでもいいと思ってなくちゃイヤー。(←そんなの青木さんじゃない)





水面の蝶(7)





 青木がマンションに戻ると、薪は既に帰ってきていて、どんなルートから手に入れたのか、捜査報告書のコピーを貪るように読んでいた。官房室の威光を借りたか、警視長の階級にものを言わせたか、どちらにせよ正規の方法でないことは確かだ。第一、調査中の事件の捜査資料は持ち出し禁止のはずだ。

「空振りだったか」
 黙ってソファに腰を下ろした青木に、薪は言った。自分に報告をしないということは、報告できるだけの収穫がなかったものと判断したのだろう。
 はあ、と青木は曖昧に頷いて、薪が読んでいる資料を隣から覗き込んだ。
 事件現場の写真が2枚、縦に並んでいる。被害者の状態と傷のアップ、傷口は刃渡り12センチ前後の鋭利な刃物によるもので、凶器の特定はまだされていないと書かれていた。

「こっちもあんまりよくない。状況証拠が揃い過ぎている」
 ソファの背もたれに寄りかかり、薪は腕を組んだ。仕事モードの彼は冷静でストイックだ。夕食後にテレビを見ているときのように、気安く触れることはできない。
「銀行の取引には、必ず伝票が伴う。預貯金の移動は、すべて本部のメインコンピューターにつながる端末機で操作される。端末を動かすには行員個人のIDカードが要る。そのIDも、伝票の起票印も、全部彼女のものだ」
 美月に横領の疑いが掛かったのは、その原因文書のせいか。しかし、印鑑とIDだけでは確実な証拠にはならないはずだ。

「端末にIDを通してオペレーションをして、その場を離れるときにはIDを解除するのが本当のやり方なんですけど、実際は忙しくてそのまま席を離れてしまう事が多いから、必ずしも伝票に打たれたIDが伝票を操作した本人とは限りません。
 それに、預金の払戻請求書には、受付印と印鑑照合印と検印の欄があって、その3つすべてが同じ行員の印鑑であってはいけない、という規定があるそうですよ。一枚の伝票に必ず二人以上の行員が関わることで、顧客預金の勝手な流用を防ぐとか」
「……よく知ってるな」
 せっかく薪が感心してくれたのに、青木にはそれを喜ぶ余裕はなかった。とにかく、彼女の疑いを晴らさなければならない。一刻も早く。

「起票印は彼女のものでも、印鑑照合、あるいは検印は別のひとのものでしょう? だったらその行員にも事情を確認しないと」
「彼女の机の引き出しから、他の行員の名前の印鑑が複数見つかった」
「えっ!?」
 寝耳に水の情報に、青木は思わず大きな声を上げた。
 聞いてない、そんなことは聞いていなかった。

「銀行の行員が使ってる印鑑て、普通のシャチハタ印なんだな。あんなの、どこでだって買える」
 亜麻色の瞳を酷薄そうに細めて、薪は辛辣な口調で銀行の批判を始めた。薪は自分にも厳しいが、他人にも厳しいのだ。
「IDカードの管理は個人個人に任されているし。検印制度にしたって、一般行員が500万までの振替検印を行えるって、危機管理が甘いとしか思えない。横領天国だな、この銀行。うちの預金を預けてなくてよかった」
「……通帳残3ケタの預金者に言われたくないと思いますけど」
 車を購入する話が出たときに見せてもらった薪の通帳、そのありえない残高を見たときのショックを思い出して、青木はガックリ肩を落とした。

「それに、銀行員にはプライドと誇りがあるって、彼女は言ってましたよ。目の前に何億の札束が重ねられようと、その誘惑に負けるような人間には銀行員たる資格がないって。それはオレたち警察官が、どんな小さな罪も自分には許すまいと思う精神と同じことだって」
 なるほどな、と薪は頷き、
「それと、添田副支店長の殺害についてだが」と焦点を殺人事件へと移した。
「事件当夜、山本美月は残業で行内に残っている。為替業務ってのは預金業務よりも仕事が多いみたいで、彼女は残業が多かったらしいな。通用口の鍵を管理しているのは副支店長だそうで、最終的には彼と二人になることが多かったみたいだ。
 この夜もそうだったらしい」

「目撃証言が出たんですか」
「いや。先に帰った行員が、最後に残ったのはこの二人だと」
「それだけで彼女を犯人だと? 指名手配までしておいて、ずい分杜撰な捜査ですね。横領のほうは一応物証が挙がってるから所轄の疑いも仕方ないけど、でも、それだって逆に揃いすぎてて。オレには誰かが彼女を陥れているとしか」
 薪は、青木の意見に興味深く耳を傾けていた。ふむ、と鷹揚に頷き、すっと視線を青木から外して、
「そうだな。おまえの言うとおりだ。僕も所轄の捜査は間違っていると思う。彼女はハメられたんだ。同じ支店の誰かに」
 自分と同じ結論にたどり着いてくれた薪に、青木は小躍りしたいくらい嬉しくなる。薪がそう考えてくれるのなら、もう彼女の疑いは晴れたも同然だ。

「その誰かに、心当たりはないのか」
「実は、少しだけ」
 この機会を逃すまいと、青木は意気込んで言った。
「彼女の同僚で篠田玲子っていう行員がいるんですけど。この人とだけは反りが合わないって、昔彼女に聞いた覚えが」
「篠田玲子……こいつか。為替業務の経験もある。自分が横領をしておいて、横領の証拠となる偽造印を彼女の机に投げ込んでおいた、というわけか。可能性はあるな。
 よし、僕はこれから渋谷南署に行って、このことを進言してくる。おまえも諦めず、心当たりをもう一度探してみろ」

 はい、と青木は元気よく頷いた。
 推理の神さまの異名を持つ薪の後押しがあれば、所轄の捜査も篠田に向けられるに違いない。捜査の焦点が変われば、新しい証拠も出てくるはずだ。

 薪が家を出るのを確認して、青木は自分も出かける準備をした。
 買い物用のバックを懐に入れ、まずはスーパーに寄って食料品を買い込む。一人分の弁当と、後は調理の不要なパンや缶詰、野菜不足を補うためのフルーツ類。ついでにフルーツを切るための果物ナイフも購入し、それらを持って、急いで目的の場所に向かった。
 薪のマンションのある吉祥寺から、電車で約30分。青木が駅から辿った道は、通いなれたかつての通勤路だった。
 青木は大きな公園の前にあるアパートへ入っていく。そこは青木が1ヶ月前まで住んでいたアパートだった。まだ荷物の処分が終わらないことから、賃貸契約を切らないでいる。その怠慢が、思わぬところで役に立った。
青木は周りに誰もいないことを確認し、鍵を開け、暗い室内に入った。後ろ手に鍵を掛け、声を潜めて、
「美月。いる?」

 青木の声に応えてベッドルームから出てきた女性に、青木はにっこりと微笑む。クッションを引き寄せてその上に彼女を座らせ、肩に掛けたバックをその場に下した。
「とりあえず、当座の食料持ってきた。電気が使えないから缶詰ばっかりだけど。でもね、そんなに長いこと我慢する必要はないよ。薪さんが、美月は犯人じゃないって分かってくれたから。あのひとに任せておけば安心だよ。絶対に真犯人を探し出してくれる」
 
 彼女を安心させようと、青木はやさしく語りかけた。彼女は硬い表情で青木の話を聞いていたが、不意にギョッとして青木から離れようとした。
「どうしたの、美月」
 彼女の鳶色の眼が見開かれ、青木の後ろを見ている。嫌な予感に襲われて青木は、振り返ろうとしてそれを為せない。
 
 ガチャリという金属音が、地獄の釜の開く音にも聞こえる。施錠が解除され、ドアが開いたのが空気の流れで分かった。
 この部屋の合鍵を持っている人間は、管理人を除けば1人しかいない。恐る恐る、青木は振り返る。

「薪さん……」
 狭い玄関の三和土に、燃えるような瞳をして薪が立っていた。




*****

 しゅらばらんば~♪(←楽しいらしい)

テーマ : 二次創作(BL)
ジャンル : 小説・文学

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Mさまへ

11/17に拍手コメントくださった Mさま。

>うわあーどうなるの!?

とんでも展開ですみませんー!
 最後はまあるく収めますので、どうか辛抱して読んでくださいねっ。(←読者に辛抱を強いるSSってどうなの)

プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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