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クッキング2 (5)

 明日から3連休ですねっ。
 みなさん、連休はいかが過ごされますか?

 しづは、オットとお義母さんと3人で河口湖に行きます。 ので、次の更新は来週になります。 よろしくお願いします。


 ふふふー。 富士山見ながら温泉入るんだー。 楽しみですー。 

「富士山、いいでしょー。 一緒に行きたかったらお義母さんに頼んであげるよー」と義弟の子供らに言ったら、甥っ子のやつ、
「近いうち修学旅行で沖縄行くからいい」
 沖縄!? 修学旅行で!? 修学旅行は京都奈良って日本の法律で決まってるのに!!!<ないない。
 姪っ子は姪っ子で、
「富士山? キスマイのコンサートの方がいいー」
 わたしだってオフ会の方がっ……!!!←嫁として言ってはいけない一言。

 最近の若いもんは、生意気ですよねえ?






クッキング2 (5)






「そんなのおかしい。僕が料理を作ったら、お母さんを騙すことになる。義理とは言え親になる、そんな大事なひとを騙すなんて。してはいけないことだ」

 曲がったことが大嫌い、青木はそういう薪が大好きなのだが、竹内たちの事情も分かる。薪の言うことが正しいのは認めるが今回だけ、と頼む雪子に、薪は彼女には滅多と見せない厳しい顔つきで、
「それであちらのお母さんが雪子さんを受け入れてくれないなら、それは縁がなかったと言うことです。結婚は考え直したほうがいい」
 薪の意見が極論に走って、青木は彼の道徳が我欲を押し通したいが為のカモフラージュだったことを知る。二人の結婚を止めさせたくて仕方ない薪は、結局ここに持ってきたいのだ。

「薪さん。いい加減諦めてくださいよ。お二人は愛し合って」
「青木。結婚というのは家と家とのつながりだ。二人が愛し合っていればそれでいいなんて、世間を知らない子供の言うことだ。百歩譲って、感情に任せて駆け落ちなんかしでかしたバカどもが、たゆまざる努力と愛情をもって立派に家庭を築き、やがては親御さんの承認と祝福を得るケースがあることは認めるが、雪子さんはこの男に騙されてるだけだから。その事例は適用できない」
 雪子の婚約といい歯医者といい、どうしてこう現実逃避が激しいかな……。

「仕方ないですね。先生、帰りましょう」
 雪子への真摯な愛情を結婚詐欺みたいに言われて、さすがに腹に据えかねたのか、竹内は席を立った。婚約者の潔い引き際に雪子は戸惑う様子を見せたが、黙って後に付き従った。雪子は男勝りで実際に竹内よりも強いが、相手を立てるところは立てる。絶対にいい奥さんになると思った。

 玄関先で青木は、「役に立てなくて申し訳ない」と恋人の非協力的な態度を詫びたが、竹内は片方の眉をひょいと吊り上げ、意味ありげに笑って見せた。それから、見送りもしないでソファに座ったままの薪に向かって、
「室長。最後に一つだけお願いが」
「なんです」
 雑誌に眼を落したまま、無愛想に応えを返す。青木が持ち込んだカー雑誌などに興味はないくせに、でも死んでも二人の仲を認めたくない薪は、こうして寄り添えばけっこうな美男美女、客観的にもお似合いの彼らの様子を見たくないのだ。

「万が一のときには、弁護側の証人として法廷に立っていただけますか。婚約者の俺では、証言の信憑性を疑われますので」
「法廷?」
 いきなり飛んだ話に着いて行けず、青木は首を傾げた。どうして急に竹内が裁判の話を始めたのかも分からなかったが、それに呼応する薪の行動はもっと分からなかった。

「竹内さん、待ってください」
 持っていた雑誌を放り投げるようにして、薪は玄関に走ってきた。と思うと、竹内の上着の裾を握り、「協力します」とあっさり意志を翻した。
「無理なさらなくていいですよ」
「……させてください。お願いします」
 哀願調まで飛び出した薪に、青木はぽかんと口を開けた。逆転劇のキーワードは『裁判』だと察せられるが、青木には二人の間でどんな思惑が飛び交っているのか、全く解らない。

「ありがとうございます。引き受けてくださると信じてました」
「雪子さんを犯罪者にするわけにはいきませんから」
「……ああ、なるほど」
 雪子の料理を一度でも口にしたことのある人間なら誰もが予想する、少しでも心臓の弱い人間がこれを食べたら確実に死ぬ。もちろん、料理からも遺体からも毒物は発見されない。被害者の死因は瞬時に味覚を破壊されたことによるショック死だからだ。
 事情が分かって、青木は薪の優しさに心を震わせる。あんなに嫌がっていたのに、友人の身に危機が迫れば潔く自分の感情を打ち捨てる。やっぱり薪さんはやさしい、やさしくて強い人だと、それが自分の愛した人なのだと、誇らしささえ湧いてくる。

「先生、いつでも完全犯罪できますね」
 雪子に対するフォローと言うよりはトドメだが、浮かれた青木はそれに気付かない。当然、雪子は額に血管を浮き上がらせるほどに激昂し、
「あんたたち、あたしの料理を何だと思ってんのよ!?」
「「「劇薬」」」
「即答!? しかも何なの、そのハモリ具合は! 仲悪いんじゃなかったの?!」
 薪は竹内が大嫌いだが、仕事で何度か組んでいる。だからお互い相手の呼吸は理解していて、それがつい出てしまったらしい。

「では日曜日に。よろしくお願いします」
 本気で怒りだした雪子を竹内が引き摺るようにして帰って行き、部屋には静寂が訪れた。茶器を片付けようとして青木は、再びソファに座った薪がうっすらと笑っていることに気付く。
 おかしい。薪は雪子を人質に取られる形で竹内の要請を呑んだのだ。竹内にしてやられたと、悔しがるのが自然ではないのか。
 さては、と青木は思う。先刻の竹内の言葉を聞いて、彼の愛情が本物だと認めたのか。
 薪が彼らを祝福してくれるなら、それは青木にとっても嬉しいことだ。雪子も竹内も大事な友だち、だから青木は彼らに幸せになって欲しい。でも薪は二人の仲には大反対で、青木はずっと板挟みだった。あちらを立てればこちらが立たず、どちらの味方をしても誰かに泣かれる。
 それを薪がようやく認める気になってくれたなら。青木は堂々と彼らを祝福できるのだ。

「日曜日は頑張りましょうね。オレもお手伝いしますから」
 青木がサポートを申し出ると、薪は何故かものすごく意地の悪い顔つきになった。瞬時に立ち込める暗雲。付き合いの長い青木には分かる、薪は何か企んでいる。
「青木。僕が本気であの二人の後押しをすると思うのか?」
「まさか、ドタキャンとか考えてるんですか? それはあんまりじゃ」
「料理はするさ。心を込めてな」
 では、超絶に不味い料理を作るとか? それとも期限切れの食材を使うとか下剤を仕込むとか大腸菌を混ぜ込むとか、いや、最後のは犯罪だな、でも薪ならやりかねない。

「絶対に別れさせてやる。あんなマダオに大事な雪子さんを渡してたまるか」
 薪は目的のためには手段を選ばない。犯人逮捕に懸ける彼の情熱が、しばしば彼の身体と立場を危うくする様子を青木は嫌と言うほど見てきた。危険だ。雪子に報せなければ。
「青木、分かってると思うけど」
 スラックスのポケットの中で携帯電話を探る手に、薪の視線が突き刺さる。針で縫いとめられたように、青木は手が動かせなくなった。
「今の話、雪子さんにチクったら」
「……たら?」
 カラカラに乾いた口で訊き返した青木に、薪はにっこりと笑った。
 神に選ばれし者だけに許された完璧な笑顔。青木の背中がぞっと寒くなる。何故なら青木は知っている、薪がこの顔をした時には、地獄の閻魔よりも恐ろしいことを考えているのだ。

 青木は引きつった笑いを浮かべ、手をポケットから出した。全面降伏の証に、携帯電話はローテーブルに置き、茶器の片付けに掛かる。キッチンで4人分のコーヒーカップを洗い始めた青木の耳に、やがて聞こえてくるテレビドラマの音声。
『お義母さま、お許しください』
『まあ、図々しい。家宝の壺を壊しておいて、許してなんてよく言えたものね。この役立たず、外れ嫁!』(ビシッ、バシッ)
『堪忍してください、わたしのお腹の中には子供が』
『その子だって、本当に息子の子だかどうだか解りゃしない』
『そんな、お義母さま!』
『ええい、あんたの顔なんか見たくもない、出てお行き!』
 ―――― ああ、また韓国ドラマのビデオ見てる。見ないでくださいって言ったのに。
「なるほどなるほど、母親の神経を逆撫でするにはこういう方法も」
 ―――― しかもなんか学習してる……!!

 すみません、三好先生、竹内さん。無力なオレを許してください。

 心の中で二人に手を合わせ、青木は食洗機の乾燥ボタンを押した。





テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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Aさまへ

Aさま、こんにちは。(^^

> いいなー富士山!

良かったですよー♪
最初の日は曇り空で少し残念でしたが、富士山が見える部屋だったので。 特に部屋風呂からの眺めは絶景でした。 河口湖も綺麗だった~。
温泉も気持ちよかったし、ご飯も美味しかったし。 
おかげさまで、心行くまでリフレッシュしてまいりました。(^^



雪子さんと雛子さん、どっちの料理がより毒薬か、ですか?(笑)
どっちもどっちって気がしますが、雪子さんの方がマシだと思います。 雪子さんの料理下手は経験不足が大きいのですけど、雛子さんは毎日作っててアレですからね☆



> 薪さんは韓国ドラマを見るとますます、意地悪になるような・・(^^;)

Aさまは、韓ドラ好きですか?
わたしはすみません、愛憎ドロドロの韓ドラと昼ドラは少し苦手です。 特に韓ドラは脚本的にもツッコミどころ満載で~、オットと二人で爆笑しながら見てます。 
悪役の女の子に「バレたらどーすんだ、これ?!」「すげー! この女、ぱねー!」とか突っ込みながら見るのは結構楽しいです。
間違った見方しててすみません。(^^;

Sさまへ

Sさま、こんにちは!
コメントありがとうございます~。


富士山、綺麗でした♪
温泉、気持ちよかったです♪
心配していた交通渋滞もそれほどなくて、帰り、わたしのナビの失敗で首都高ぐるぐる回っちゃいましたけど(笑) 交通トラブルはそれくらいで、順調に楽しく行って参りました。
そうですね、今度あおまきさんにも是非、富士山を見ながらの温泉を楽しませてあげたいです。(^^


リクエストは、
あははー、たしかに、両方って選択肢もアリですよね☆

「パーティ」の予告も、憶えててくださってありがとうございます。
あれもねえ、くだらない話でねえ……まあ、うちは基本ギャグなので、笑ってもらえれば嬉しいです。


> ところで、薪さん韓流ファンですか(。。;)

どうなんでしょうね?(笑)
わたしも韓ドラは、あまり興味ないです。 いくつか見たんですけど脚本が凄くって、着いて行くの大変でした。 少年漫画が好きなくらいなので、ドロドロの愛憎劇は苦手なんです~。
韓流ドラマで面白いのは悪役だと思います。 よくこんなことを考え付くなー、と感心(?)するくらい、ムチャなことしますよ。 虚言も凄いし。 「バレた時のリスクは考えないのか」とか、「あれは一種の病気だな」とか、突っ込みながら見ると楽しめます。


> お仕事柄、熱中症に気をつけてくださいね。

ありがとうございます。
梅雨が明けて、本格的に夏の日差しになりましたからね。
Sさまは、お仕事の方はいかがですか? 少しは慣れましたか? (ブログのテンプレ、変えられたんですね。 海の中から外界を見上げる風景……綺麗ですね(^^)) 
初めの3ヶ月くらいは大変だと思います。 どうかご自愛くださいね。


プロフィール

しづ

Author:しづ
薪さんが大好きです。

2008年の夏から、日常のすべてが薪さんに自動変換される病に罹っております。 
未だ社会復帰が難しい状態ですが、毎日楽しいです。

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いつの間にか9歳になってました。( ゚Д゚)
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